売上原価はどんな種類があるの?
売上原価と聞いてイメージするものはどういったものでしょうか。
飲食店で勤務されている方は、食材費や人件費をイメージされるかと思います。
賃貸不動産の代理店で勤務されている方は、事務所の賃貸費用等をイメージされるかと思います。
工場で勤務されている方は、製品の部品費、材料費や外の業者への外注費等をイメージされるかと思います。
上記のように業種によって様々な売上原価があります。
それでは、損益計算書に計上される売上原価とはどういったものでしょうか。
売上原価につい明確な定義はありませんが、ここでは、商品、製品、サービス等の財を直接販売するために要した費用と定義づけます。
実務的に以下のように各社様々な売上原価があります(EDNETより一部抜粋)。
①日本マクドナルドホールディングス株式会社
・直営店舗売上原価
・フランチャイズ収入原価
・不動産賃貸原価
②住友不動産
・不動産賃貸事業原価
・不動産販売事業原価
・完成工事事業原価
・その他事業原価
③イオン株式会社
・売上原価
・総合金融事業における営業原価
売上原価を使った比率分析
売上原価を使用した比率分析の代表的なものとして売上原価率があります。売上原価率は以下のような算式となります。
売上原価率(%)=売上原価÷売上高×100
上記を使ってどのように、分析を行うのかについて以下事例をみていきましょう。
【前提条件】
①A社およびB社はいずれも飲食店を営んでいます。
②×1期のA社の売上高は1,000、B社の売上高100
③×1期のA社の売上原価は600、B社の売上高40
④上記以外に、収益、費用は発生しないものとします。
上記の条件を損益計算書で表現すると以下のようになります。
A社とB社の利益額を比較した場合、A社の利益は400にあるのに対してB社は60と、A社のほうが5倍以上の利益を出していることがわかります。
しかし、売上原価率を見るとA社は60%であるのに対して、B社は40%とB社の売上原価率が低いため、B社のほうが売上高に対する原価を抑えて経営ができているということになります。
このように売上原価率は規模の異なる会社を比較際に役に立つ指標となりますので、ぜひ覚えておいてください。
なお、売上原価率は、以下のような関係もあります。
売上原価率=(1-売上総利益率)
上記の算式でいうとA社の場合、以下のとなります。
売上原価率(60%)=1-売上総利益率(40%)
言い換えると以下のような式で表すことができます。
売上原価率+売上総利益率=100%
製造業等における売上原価
店舗等において、商品を仕入れそれを販売する場合、商品の仕入額がそのまま売上原価となります。
しかし、製造業等自社で自製を行ったうえで販売を行う場合、その製造にいくらかかったかを計算したうえで、売上原価を決定することになります。
当該売上原価を計算するための財務諸表を製造原価報告書といったりします。
製造原価報告書は主に以下の3つに分けられて計算されます。
①材料費
②労務費
③その他経費
材料費は、当該製品を製造されるための主たる材料をいいます。
例えば、豆腐を製造している会社の場合、豆腐の原料となる大豆が材料費に該当することとなります。
次に労務費ですが、豆腐を製造するために人がその製造に携わることがほとんどかと思います。この製造に直接かかわっている人、すわなち、豆腐工場で製造を行っている人の人件費は、労務費として集計されることとなります。
最後にその他経費ですが、大豆を煮詰めるためには、専用の機械が必要となりますが、当該機械にかかる費用等は、その他経費に集計されることとなります。
このように、それぞれの製造原価を計算したうえで、売上原価が決定することなります。
以下、具体的な例示を見ていきましょう。
【前提条件】
①A社は、豆腐製造している会社
②A社は、豆腐製造のための材料費として100かかりました。
③A社は、豆腐製造のための労務費として70かかりました。
④A社は、豆腐製造のための機械費用等のその他費用として150かかりました。
⑤棚卸資産はないものとします。
上記においては、計算のイメージもってもらうために簡便化していますが、実務上は、材料費、仕掛品、製品の棚卸資産を考慮する必要があり計算が複雑になることがほとんどかと思います。