税務個別論点

みなし配当

内国法人の源泉徴収対象となる範囲

みなし配当とは、法人の株主等が法人より金銭その他資産の交付を受けた金額のうち一定の場合、会社法上は配当とみなさないものであっても法人税上は剰余金の配当等とみなして受取配当等の益金不算入の規定を受けることとなる規定をいいます。

みなし配当として取り扱わるケースとして、法人税法第24条では以下のように規定しています。

【みなし配当が適用される場合】

法人税法第24条第1項第1号 合併(適格合併を除く。)
同条同項第2号 分割型分割(適格分割型分割を除く。)
同条同項第3号 株式分配(適格株式分配を除く。)
同条同項第4号 資本の払戻し(剰余金の配当(資本剰余金の額の減少に伴うものに限る。)のうち分割型分割によるもの及び株式分配以外のもの並びに出資等減少分配をいう。)又は解散による残余財産の分配
同条同項第5号 自己の株式又は出資の取得(金融商品取引法第二条第十六項(定義)に規定する金融商品取引所の開設する市場における購入による取得その他の政令で定める取得及び第六十一条の二第十四項第一号から第三号まで(有価証券の譲渡益又は譲渡損の益金又は損金算入)に掲げる株式又は出資の同項に規定する場合に該当する場合における取得を除く。)
同条同項第6号 出資の消却(取得した出資について行うものを除く。)、出資の払戻し、社員その他法人の出資者の退社又は脱退による持分の払戻しその他株式又は出資をその発行した法人が取得することなく消滅させること。
同条同項第7号 組織変更(当該組織変更に際して当該組織変更をした法人の株式又は出資以外の資産を交付したものに限る。)

 

みなし配当が生じる合併

合併とは、別々の法人が1つの法人に合体する組織再編手法をいいます。税務上合併には、適格合併と非適格合併がありますが、みなし配当が適用されるのは、非適格合併となります。
また、合併法人が合併直前に有していた被合併法人の株式等(抱合株式)に対して、合併に際して株式の交付をしなかった場合におていも、株式その他資産の交付をを受けたものとみなして、みなし配当の規定が適用されます。

 

みなし配当が生じる分割

分割とは、法人(分割法人)がその事業に関して有する権利義務の全部または一部を他の法人に承継させる組織再編手法をいいます。税務上分割には、適格分割と非適格分割がありますが、みなし配当が適用されるのは、非適格分割となります。
また、合併法人が合併直前に有していた被合併法人の株式等(抱合株式)に対して、合併に際して株式の交付をしなかった場合におていも、株式その他資産の交付をを受けたものとみなして、みなし配当の規定が適用されます。

 

みなし配当が生じる株式分配

株式分配とは、現物分配のうち、完全子法人の当該発行済株式等の全部が移転するものをいい、株式分配にも適格株式分配と非適格株式分配があり、そのうちみなし配当が生じる株式分配は、非適格株式分配が対象となります。

なお、株式分配自体があまり多く出てくる取引ではないため、理解できない場合でも一旦後回しにしていただいても問題ないかと考えています。

 

みなし配当が生じる資本の払戻し

資本剰余金は株主が出資した金額のうち資本金にならなかった部分であり、一定の手続きに基づき資本剰余金を原資とした配当を行うことができます。税務上は、資本の払戻しがあった場合で、払戻額(交付金銭の額)が減資資本金額を超えるときは、その超過額に対してみなし配当の規定が適用されます。このため、資本の払戻しを行う場合には、事前に留意が必要となります。なお当該資本の払戻しによるみなし配当の規定は、解散による残余財産の分配の場合においても同様に考えることとなります。

 

みなし配当が生じる自己の株式又は出資の取得

自己株式又は出資を取得した場合においても、みなし配当が生じることとなります。ただし、上場企業等が市場から自己株式を取得した場合においては、みなし配当が規定が適用されない点に留意が必要となります。

 

みなし配当が生じる出資の消却、払戻し等

会社法上、取得した自己株式等について会社法の一定の手続きをへて出資の消却、払戻し等により発行済株式又は出資金を減らすことにより、税務上はみなし配当の規定が適用される点に留意が必要となります。

 

みなし配当が生じる組織変更

合同会社から株式会社への変更する等の組織変更を行った場合で、株式又は出資以外の資産を交付した場合において、税務上はみなし配当の規定が適用される点に留意が必要となります。

 

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公認会計士_TATA

大手監査法人で製造業、金融業、小売業、電力業、介護、人材派遣業、の幅広いクライアントの監査に10年以上従事し、中小会計事務所のコンサルタントの経験したのちに、会社を設立。 現在は、各種コンサルタント業務に従事している傍ら、会計・税務に関する情報を発信している。

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