日商簿記3級

【日商簿記3級⑦】小口現金

小口現金ってなぁに?

会社は、コピー用紙のような少額の経費や交通費の支払いのために会社の手許に一定の現金を会社内に置くことがあります。

この現金を担当者に渡される少額のお金を小口現金といいます。

小口現金は会社の各部署の小口現金係に現金を渡します。また各部署の小口現金係は交通費等の支払が発生した場合、お金の支払を行います。

なお、小口現金からお金を支払った段階では仕訳はまだ発生していません。

仕訳は各部署の小口現金係が、経理部へどんなことに使用したかを報告し、その報告内容に基づき経理部で仕訳を実施することになります。

具体的には、以下のような流れとなります。

 

 

まず各部署の担当者が必要に応じて小口現金の使用目的を伝えたうえで、各部署の小口現金係に連絡を行います。

なお以下の説明の番号は、上表の番号と整合しています。

①各部署の小口現金係は、内容を確認のうえ問題なければ、現金を担当者に支払います。

②小口現金係は、例えば1週間ごとに経理部担当者に報告をします。

③経理部担当(会計係)は、報告内容に基づき仕訳を入力します。仕訳は以下の通りです。

 

④経理部担当(会計係)は、報告内容に問題なければ使用した金額を各部署へ補充します。

 

もう少し詳細にみていきましょう。上表のおける担当者Aに焦点を当ててみていきましょう。

例えば担当者Aは営業部に所属していたとします。担当者Aは、営業先へのバス代として営業部の小口現金係に200円を要求します。

営業部の小口現金係は、担当者Aへ200円を渡す共に、バス代の内容を小口現金出納帳(後述)に記帳します。

小口現金係は、経理部担当(会計係)に小口現金の使用状況を報告します。

経理部担当(会計係)は報告内容に基づき上表のうち、借方として旅費交通費200円を計上します。

また、経理部担当(会計係)は、使用した金額を補充します。

細かく流れを理解するのが面倒という方は、以下の3点だけおさえていただければ思います。

①各部署単位で支払えるお金を小口現金という

②経理部は、各部署からの小口現金の使用状況に基づき仕訳を起票する

【解説】

それでは上記の仕訳の解説をします。

ここで思い出していただきたいのが以下の表です。

 

 

担当者Aと担当者Bは、バス代と電車代となります。

バス代も電車代いずれも使ったあとに将来的に価値があるものが残るわけではないため、費用に該当することとなります。

また、バス代や電車代は、旅費交通費という勘定科目を使用されることが多いです。

担当者Aは200円、担当者Bは500円のバス代、電車代をそれぞれ使用していますので、以下のように借方科目に「旅費交通費」を記載し、金額はそれぞれ200円と500円を記載します。

 

でもこれだと借方=貸方となっていませんね。

簿記は必ず借方=貸方の金額が一致しますので、これだけでは解答として誤りということなります。

このため、貸方科目にも記載が必要となります。

今回は小口現金から200円、500円をそれぞれ支払っていますので、小口現金勘定を減らすため貸方勘定に記載します。

上記のうち貸方科目の小口現金をまとめると以下ようになります。

続いて担当Cについて検討していきましょう。

担当者Cは、「コピー用紙代を立替えたので、代金300円ください。」と主張しています。

コピー用紙は、開封したものをすべてコピー複合機に入れてしまうことをイメージしていただくわかりやすいかもしれませんが、費用に該当することとなります。

また、コピー用紙は、消耗品費という勘定科目を使用されることが多いです。

担当者Cは、300円は会社に必要なものとしてコピー用紙を購入していますので、以下のように借方科目に「消耗品費」を記載し、金額は300円を記載します。

 

でもこれだと旅費交通費の場合と同様に借方=貸方となっていませんね。

簿記は必ず借方=貸方の金額が一致しますので、これだけでは解答として誤りということなります。

このため、貸方科目にも記載が必要となります。

今回は小口現金から300円を支払っていますので、小口現金勘定を減らすため貸方勘定に記載します。

 

旅費交通費と消耗品費をまとめると以下の仕訳となります。

さらに小口現金をまとめると解答の仕訳となります。

【仕訳】

どうでしょうか。仕訳は理解できましたでしょうか。

 

以下は余談となりますので、時間のある方や興味のある方は一読して頂ければと思います。

 

■コピー用紙は資産?

上記の仕訳の解説において、コピー用紙を消耗品費として処理していますが、なかには、コピー用紙は資産として計上すべきではないのと考えたかたもいらっしゃるかと思います。

結論から申し上げるとその考え方も正しいです。

コピー用紙が決算日に残っていた場合、資産に計上するのがあるべき姿となります。

但し、コピー用紙の少額の資産については、簡便的に費用処理していることも少なくないと思います(厳密いうと処理としては誤りです)。

なお実務上多いのは期中を消耗品費で費用処理したうえで、期末に残っているもの資産勘定である貯蔵品勘定として計上していることが多いです。

 

まとめ

1.小口現金は現金の一種です。

2.小口現金は会社の各部署の小口現金係に現金を渡されたうえで運用されます。

3.小口現金は各部署の小口現金係からの報告を受けて会計係(経理部)等が仕訳を起票します。

 

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公認会計士_TATA

大手監査法人で製造業、金融業、小売業、電力業、介護、人材派遣業、の幅広いクライアントの監査に10年以上従事し、中小会計事務所のコンサルタントの経験したのちに、会社を設立。 現在は、各種コンサルタント業務に従事している傍ら、会計・税務に関する情報を発信している。

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