収益認識に関する会計基準

収益認識に関する会計基準の概要

収益認識に関する会計基準ってどんな基準?

ポイント

・収益認識会計基準ってどんな基準?

・収益認識会計基準の適用対象外となるものは?

・収益認識の5つのステップを把握する

 

企業会計基準第29号 収益認識に関する会計基準「以下、収益認識会計基準」という。)は、売上を含めたあらゆる収益に関して適用される基準となります。

収益認識会計基準が公表されたことに伴い、それまで業界慣行等にもとづき会計処理を行ってきた収益認識に関する実務も、収益認識会計基準に基づき会計処理を行わなければならなくなりました。

収益認識会計基準はすべての企業において関連する事項で、実務上は多くの企業においてシステム変更対応等を含め大きな影響を与えています。また法人税法も、収益認識会計基準の公表に伴い法人税法通達を含め多くの改正がなれました。

なぜ、収益認識会計基準を作成したかというと、色々と理由はありますが平たくいうと日本の会計基準を国際基準(IFRS)に寄せる必要があったということです。
海外とは異なり日本には日本独自の商慣習が存在するため、日本独自の商慣習に基づいた会計処理を維持できるのであればそれに越したことはないのですが、日本においてもボーダレス化、グローバル化が叫ばれるようになって久しく、また海外投資家も多い昨今において、海外も含めた投資家の観点日本だけ独自路線を貫くのには、限界があり収益認識に関する会計基準だけでなくあらゆる会計基準が国際会計基準(IFRS)へ寄せています。

加えて、日本だけ国際会計基準を適用しないことで、国際的な競争力を失う可能性もあることから、日本会計基準は国際会計基準(IFRS)へと近づけるための作業であるコンバージェンスを行っています。

しかしながら、今回紹介する収益認識会計基準は、ありとあらゆる業界における収益計上に関する基準として対応させるために、「収益認識に関する会計基準」の基準における記載内容は非常に抽象的な表現となっており、その適用に頭を悩ませている会社は少なくないかと思います。

そんな収益認識会計基準について段階を踏んでご説明していきます。

なお以下については、収益認識会計基準の適用対象外、すなわち以下の基準等が優先されることとなりますのでご留意ください。

■収益認識会計基準の適用除外
(1)金融商品会計基準の範囲に含まれる金融商品に係る取引
(2)リース会計基準の範囲に含まれるリース取引
(3)保険法における定義を満たす保険契約
(4)顧客又は潜在的な顧客への販売を容易にするために行われる同業他社との商品又は製品の交換取引
(5)金融商品の組成又は取得に際して受け取る手数料
(6)不動産流動化実務指針の対象となる不動産(不動産受益権を含む)の譲渡
(7)資金決済法における定義を満たす暗号資産及び金融商品取引法における定義を満たす電子記録移転権利に関連する取引

なお、上記のうち金融商品会計基準、リース会計基準を抑えていただければ十分かと思います。

収益認識会計基準
収益認識の5つのステップ

 

収益認識会計基準に関しては、上記の通りStep1:契約の識別、Step2:履行義務の識別、Step3:取引価格の算定、Step4:取引価格の配分、Step5:履行義務の充足

という5つのステップをが基本原則があり、上記のステップに通じて収益認識会計基準に係る会計処理を行うこととなります。

なお、留意すべきは上記5つのステップを基本原則としながらもすべての取引において5つのステップの事象が存在するわけでないということに留意が必要となります。

詳細は別の機会に説明させて頂きますが、とはいえ上記の5つのステップが基本原則となることは間違いのないところですので、まずは5つのステップがあることを理解してください。これを理解することが、収益認識会計基準を理解することのポイントとなります。

 

まとめ

① 収益認識会計基準は、収益に関して適用される基準

② 主に金融商品会計基準、リース会計基準は収益認識会計基準は適用対象外となる

③ 収益認識の5つのステップには契約の識別,履行義務の識別,取引価格の算定,取引価格の配分,履行義務の充足に分類される

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公認会計士_TATA

大手監査法人で製造業、金融業、小売業、電力業、介護、人材派遣業、の幅広いクライアントの監査に10年以上従事し、中小会計事務所のコンサルタントの経験したのちに、会社を設立。 現在は、各種コンサルタント業務に従事している傍ら、会計・税務に関する情報を発信している。

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