会計基礎編

1-3.【貸借対照表】資産には流動資産と固定資産があるがどのように分類されるの?

資産はどんなもの?

 

ポイント

・資産とは会社が価値があると考えているもの

・流動資産、固定資産の区分は、正常営業循環基準と1年基準で決められる

・流動資産以下の区分は、会社である程度自由に決めることができる

 

1-1.【貸借対照表】貸借対照表は一定時点における企業の財政状態を表すもの」で記載の通り、貸借対照表は、一定時点における企業の財政状態を表すものという説明をさせていただきました。

今回は、貸借対照表を構成する1つである資産について説明させていただきます。

会計ルール等を作成する機関である企業会計基準委員会における「財務会計の概念フレームワーク」では「資産とは、過去の取引または事業の結果として、報告主体が支配している経済的資源をいう」と定義されています。

上記で言っていることがわからなくても大丈夫です。資産は、「会社にとって価値があると考えている」ものくらいの理解で問題ありません。

とはいえ、気になる人のために以下赤枠部分にて上記の定義について簡単に解説します。

不要な方は読み飛ばしてください。

会社は通常の営業活動を行っていますよね。例えば、コンビニをイメージしてみてください。

コンビニは、お客様に商品を買ってもらうために、お菓子、雑誌、ジュース、お酒、アイス、お弁当、充電器といったあらゆる商品を仕入れるかと思います。

その仕入れはなんのためにするかというと、通常は仕入れた商品金額以上の値段で売ることによって、お金を儲けるためです。

しかし、仕入れたものが、即日完売ということはごくごくまれで、むしろ何日か残ること想定のうえで仕入を行っていることがほとんどかと思います。

この仕入れという事業活動を行って、結果として残った商品を資産といっています。

上の定義に当てはめると「過去の取引または事業の結果として=仕入れという事業活動の結果」と読み、「報告主体が支配している経済的資源=まだ売れてない商品」と理解すれば、イメージとしやすいかもしれません。

なお、「報告主体が支配している経済的資源」には、店舗が持っているコンビニ自体の建物や建物の内装である建物附属設備、商品を置くための棚等の器具備品なんかも含まれます。

 

流動資産の分類

資産は流動資産、固定資産に区分されます。流動資産の多くは1年内に入金や決済される又は決済可能なものと理解していただいていて概ね差支えありません(正確に理解したい人は※1参照)。

資産のうち、流動資産以外は資産はすべて固定資産に分類されます。

流動資産には、現金及び預金、ものを売った際に1カ月後等に売上を回収権利(クレジットカード販売をイメージすればわかりやすいかもしれません。)である売掛金、会社の商品や製品を集計したたな卸資産(商品と製品の違いを理解したい人は※2参照)、保険料や家賃等が前払だった場合に使用する前払費用があります。

※1:流動における区分ルール

購入した資産が流動資産又は流動負債かどうかの判定は、「正常営業循環基準」で判定した後に「1年基準」かどうかで判定することになります。

ここに正常営業循環基準とは、正常な営業循環基準にあるものは、流動資産又は流動負債として区分するというルールです。

ものによっては、1年を超える期間、工事が続くことがあります。しかし、1年を超えるものであっても、それが当該会社にとって、正常な営業循環にあるのであれば、流動資産に区分というものです。

これに対して、1年基準は決算日の翌日から起算して1年内に入金や決済される資産又は負債等をいいます。

上記の通り、会計上は「正常営業循環基準」で判定した後に「1年基準」かどうかで、流動資産か固定資産かを区分することになります。

 

※2:商品と製品の違い

商品は販売することを目的に外部から仕入れたものいいます。

製品は自社で製造して完成した品物をいいます。

 

それでは、流動資産と固定資産の区分の方法がわかったところで、流動資産の例示を見ていきましょう。

以下の表は、流動資産を大分類、中分類、小分類に分けたものとなります。

上表のうち大分類とさせていただいた流動資産は、資産を区分した場合に流動資産、固定資産、及び繰延資産に区分されることになりますが、そのうちの流動資産部分となります。

また、中分類は小分類を集約したものとなります。実際の貸借対照表では、中分類の勘定科目で表示したり、小分類の勘定科目で表示したりと色々です。

一定の決まりはあるものの、会社である程度自由に決めることができます。

ではなぜ、中分類と小分類を分けているかについて簡単に解説します。例えば、中分類での現金及び預金ですが、通常ある程度の取引量のある会社であれば、金融機関の口座を複数持っていることが通常かと思います。会社の預金口座を管理に当たっては、金融機関の口座NO毎に管理する方が利便性が高いことから、帳簿を記入する際も銀行口座ごとに把握することがほとんどなります。このため、A銀行から出金を行った場合、帳簿上は、「普通預金(A銀行 111111口座)から100円出金」というような管理を行います。

一方で、財務諸表を作成する際に、金融機関の口座の数だけ貸借対照表に載せてしまうとそれだけで10以上の普通預金を表示することとなり、明瞭性に欠けることになります。

このため、仮に会社において金融機関の口座毎に管理している場合においても、預金はまとめて表示することが多く、さらに現金は通常少額であることが多く別掲する意味合いが低いことから、結果として上表で言うところの中分類である「現金及び預金」にて貸借対照表に表示することがほとんどとなります。

このように、ある程度勘定科目を集約した貸借対照表上表示されることがほとんどなります。

なお、上記で述べた一定ルールについては別の記事で記載したいと考えています。

 

まとめ

① 資産は、会社にとって価値があると考えているもの(但し例外あり)

② 流動資産の多くは1年内に入金や決済される又は決済可能なもの(但し例外あり)

③ 流動資産以下の区分は、会社である程度自由に決めることができる(但し一定のルールあり)

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公認会計士_TATA

大手監査法人で製造業、金融業、小売業、電力業、介護、人材派遣業、の幅広いクライアントの監査に10年以上従事し、中小会計事務所のコンサルタントの経験したのちに、会社を設立。 現在は、各種コンサルタント業務に従事している傍ら、会計・税務に関する情報を発信している。

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