リース会計基準

リースに関する会計基準の適⽤指針と関連する設例【企業会計基準適⽤指針第33号】④

 

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3.借手のリース
(1)リース開始日の使用権資産及びリース負債の計上額
18.借手は、リース開始日に会計基準第 34 項に従い算定された額によりリース負債を計上する。また、当該リース負債にリース開始日までに支払った借手のリース料、付随費用及び資産除去債務に対応する除去費用を加算し、受け取ったリース・インセンティブを控除した額により使用権資産を計上する(会計基準第33項)。
19.借手は、リース負債の計上額を算定するにあたって、原則として、リース開始日において未払である借手のリース料からこれに含まれている利息相当額の合理的な見積額を控除し、現在価値により算定する方法による(会計基準第34項)。

(短期リースに関する簡便的な取扱い)
20.借手は、短期リース(本適用指針第4項(2)参照)について、会計基準第33項の定めにかかわらず、リース開始日に使用権資産及びリース負債を計上せず、借手のリース料を借手のリース期間にわたって原則として定額法により費用として計上することができる。借手は、この取扱いについて、対応する原資産を自ら所有していたと仮定した場合に貸借対照表において表示するであろう科目ごと又は性質及び企業の営業における用途が類似する原資産のグループごとに適用するか否かを選択することができる。
21.連結財務諸表においては、個別財務諸表において個別貸借対照表に表示するであろう科目ごと又は性質及び企業の営業における用途が類似する原資産のグループごとに行った前項の選択を見直さないことができる。

(少額リースに関する簡便的な取扱い)
22.次の(1)と(2)のいずれかを満たす場合、借手は、会計基準第 33 項の定めにかかわらず、リース開始日に使用権資産及びリース負債を計上せず、借手のリース料を借手のリース期間にわたって原則として定額法により費用として計上することができる。なお、(2)については、①又は②のいずれかを選択できるものとし、選択した方法を首尾一貫して適用する。
(1)重要性が乏しい減価償却資産について、購入時に費用処理する方法が採用されている場合で、借手のリース料が当該基準額以下のリース
ただし、その基準額は当該企業が減価償却資産の処理について採用している基準額より利息相当額だけ高めに設定することができる。また、この基準額は、通常取引される単位ごとに適用し、リース契約に複数の単位の原資産が含まれる場合、当該契約に含まれる原資産の単位ごとに適用することができる。
(2)次の①又は②を満たすリース
① 企業の事業内容に照らして重要性の乏しいリースで、かつ、リース契約1件当たりの金額に重要性が乏しいリース
この場合、1つのリース契約に科目の異なる有形固定資産又は無形固定資産が含まれているときは、異なる科目ごとに、その合計金額により判定することができる。
② 新品時の原資産の価値が少額であるリース
この場合、リース1件ごとにこの方法を適用するか否かを選択できる。
23.前項(2)①に該当するリースに前項で定める会計処理を適用するにあたり、リース契約1件当たりの金額の算定の基礎となる対象期間は、原則として、借手のリース期間とする。ただし、当該借手のリース期間に代えて、契約上、契約に定められた期間(以下「契約期間」という。)とすることができる。また、リース契約1件当たりの金額の算定にあたり維持管理費用相当額の合理的見積額を控除することができる。

(指数又はレートに応じて決まる借手の変動リース料)
24.指数又はレートに応じて決まる借手の変動リース料(会計基準第35項(2))には、市場における賃料の変動を反映するように当事者間の協議をもって見直されることが契約条件で定められているリース料が含まれる。
25.借手は、指数又はレートに応じて決まる借手の変動リース料について、リース開始日には、借手のリース期間にわたりリース開始日現在の指数又はレートに基づきリース料を算定する([設例13])。

[設例13] 借手の変動リース料

前提条件
1. A社(借手)は、B社(貸手)と不動産賃貸借契約を締結した。
2. A社は、第5項に従って、契約はリースを含むと判断した。
3. リース開始日 X1年4月1日
4. 借手のリース期間及び貸手のリース期間 10年
5. リース料
支払は毎年4月1日
リース料の当初年額 50,000千円(毎年4月1日に公表される直前12か月の消費者
物価指数(以下「CPI」という。)の変動に基づいて、同日より年間リース料が変更されると定められている。)
6. 直前12か月のCPIの推移
リース開始日 125
X2年4月1日 150
7. X2年4月1日において、直近12か月のCPIが20%上昇しているため、リース料は年額10,000千円増額され年額60,000千円に見直された。
8. 上記5のリース料に加え、A社が原資産の使用から得られる各年度(4月1日から3月31日)における売上高の1%をリース料として翌年の4月1日に追加で支払うことが定められている。なお、X1年度の売上高は800,000千円であった。
9. A社は前提条件5及び8のリース料が借手の変動リース料に該当すると判断した。
10. 本設例では割引の影響を無視している。

 

26.前項の定めにかかわらず、借手は、指数又はレートに応じて決まる借手の変動リース料について、合理的な根拠をもって当該指数又はレートの将来の変動を見積ることができる場合、リース料が参照する当該指数又はレートの将来の変動を見積り、当該見積られた指数又はレートに基づきリース料及びリース負債を算定することを、リースごとにリース開始日に選択することができる。

(借地権の設定に係る権利金等)
27.借地権の設定に係る権利金等(第4項(9)参照)は、使用権資産の取得価額に含め、原則として、借手のリース期間を耐用年数とし、減価償却を行う。
ただし、旧借地権の設定に係る権利金等又は普通借地権の設定に係る権利金等のうち、次の(1)又は(2)の権利金等については、減価償却を行わないものとして取り扱うことができる。
(1) 本適用指針の適用前に旧借地権の設定に係る権利金等及び普通借地権の設定に係る権利金等を償却していなかった場合、本適用指針の適用初年度の期首に計上されている当該権利金等及び本適用指針の適用後に新たに計上される権利金等の双方
(2) 本適用指針の適用初年度の期首に旧借地権の設定に係る権利金等及び普通借地権の設定に係る権利金等が計上されていない場合、本適用指針の適用後に新たに計上される権利金等

(資産除去債務)
28.借手は、資産除去債務を負債として計上する場合の関連する有形固定資産が使用権資産であるとき、企業会計基準第18号「資産除去債務に関する会計基準」(以下「資産除去債務会計基準」という。)第7項に従って当該負債の計上額と同額を当該使用権資産の帳簿価額に加える。

(出所:企業会計基準委員会

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公認会計士_TATA

大手監査法人で製造業、金融業、小売業、電力業、介護、人材派遣業、の幅広いクライアントの監査に10年以上従事し、中小会計事務所のコンサルタントの経験したのちに、会社を設立。 現在は、各種コンサルタント業務に従事している傍ら、会計・税務に関する情報を発信している。

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