税務基礎編

消費税の計算構造

消費税とは

消費税とは、簡単にいうと消費する人負担する税金で、皆様にとって最も身近な税金かと思います。

一般的に消費税と言われ場合、税率10%や8%を思い浮かべるかもしれませんが、厳密には消費税は国税部分の消費税と地方消費税に区分されることとなります。

消費税及び地方消費税に区分されます。消費税が計算され、当該消費税額に基づき地方消費税の金額が決定します。具体的には以下のように区分されています。

区分 標準税率 軽減税率
消費税率 7.80% 6.24%
地方消費税率 2.20% 1.76%
合計 10.00% 8.00%

上記のような区分に基づき、納めるべき消費税を計算することとなります。

なお、消費税の申告に関しては、以下をご参照ください。

消費税申告

消費税及び地方税の申告書について 消費税法は、厳密には消費税及び地方消費税に区分されます。消費税が計算され、当該消費税額に基づき地方消費税の金額が決定します。 消費税法では課税事業者になると、その課税 ...

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消費税の納税義務者

消費税の納税義務者となるのは課税事業者となっている個人事業主又は法人が対象となります。

課税事業者となるには、以下に該当するような個人事業主又は法人が対象となります。

①基準期間(前々事業年度)の課税売上高が1,000万円を超える個人事業主又は法人

②基準期間(前々事業年度)の課税売上高が1,000万円以下で、「消費税課税事業者選択届出書」を提出している個人事業主又は法人

③①及び②に該当しない場合で、特定期間(その年の前年1月1日から6月30日までの期間)の課税売上高が1,000万円を超える個人事業主、その前事業年度開始の日以後6か月の期間の課税売上高が1,000万円を超える法人

なお、令和5年10月1日以後にインボイス制度の適用受ける個人事業主又は法人は課税事業者に該当することとなりますので、課税事業者に該当することとなる点について留意が必要となります。

 

消費税の計算方法

一般的な消費税の納税額の計算方法は以下の通りです。

【課税期間中の課税売上げに係る消費税額※1】-[【課税期間中の課税仕入れ等に係る消費税※2】=消費税及び地方消費税の納付税額

※1   売上(税抜)の10%と軽減税率が適用されるような事業の場合は、その対象品目に対して売上(税抜)の8%部分の合計額

※2  仕入(税抜)の10%と軽減税率が適用されるような事業の場合は、その対象品目に対して仕入(税抜)の8%部分の合計額

上記は消費税と地方消費税の合計額として計算していますが、申告上は消費税と地方消費税の計算が区分されている点に留意が必要となります。

国税庁のHPにおいて以下のような表がございますので、ご参照いただければと存じます。

なお、基本構造は上記のように「もらった消費税及び地方消費税」から「払った消費税及び地方消費税」を差し引いた額が納税税額となるという単純な構造となっているのですが、何が課税売上で、何が課税仕入れ等に該当するのかを細かく区分されていることも一因としてその計算が複雑にななっています。

以下、それぞれ、課税売上及び課税仕入れについて簡単な概要を説明させていただきます。

 

課税売上げとは

それでは、課税売上げとはどのようなものが該当するのでしょうか。以下説明していきます。

課税売上とは次の 4 つの要件を全て満たす取引の売上げをいいます。
1. 国内において行う取引(国内取引)であること
2. 事業者が事業として行う取引であること
3. 対価を得て行う取引であること
4. 資産の譲渡、資産の貸付け又は役務の提供であること
消費税及び地方消費税は、課税売上げに対して課税されます。

例えば、商品・製品の販売代金や請負工事代金、サービス料等のほか、機械の賃貸収入や機械・建物等の業務用資産の売却代金なども課税売上げに含まれます。

一方で以下のような収入は課税売上に該当しないことに留意が必要となります。

税の性格からみて課税対象になじまないもの(受取利息、土地(借地権等を含む)の売却代金・賃貸収入、物品切手等(商品券、ビール券等)の販売代金など)や、社会政策的な配慮から課税することが適当でない取引(医師の社会保険診療収入など)は課税売上げから除かれます。これらを非課税取引といいます。

また、保険金や消費税の還付金、国や地方公共団体から支給を受ける助成金・給付金などは、資産の譲渡、資産の貸付け及び役務の提供の対価として受け取るものではないため、消費税の課税対象ではありません。これを不課税取引といいます。

上記の具体例は、一部となり消費税計算の基礎となる課税売上げの判定に際しては個別取引毎に判断する必要がある点に留意が必要となります。

 

課税仕入れとは

事業者が事業として、他の者から資産を譲り受け、若しくは借り受け、又は役務の提供を受けることをいいます。例えば、商品又は製品等の棚卸資産の仕入れだけではなく、事業に使用する建物、機械、消耗品の購入、修繕費の支出、
商品運搬用の車両の燃料代なども課税仕入れに含まれます。ただし、利子割引料及び保険料等の支払、また、土地の購入や賃借等は非課税取引ですので、課税仕入れとはなりません。課税対象とならない給与、賃金の支払等も課税仕入れに含まれません。
なお、消費税の免税事業者や消費者から棚卸資産等を仕入れたり、サービスの提供を受けた場合でも、課税仕入れとなります。
減価償却資産を購入した場合は、購入代金の全額がその年分の課税仕入れとなります(所得税ではその年分の減価償却費だけが必要経費となります)

給料・賃金、専従者給与の支払などは課税仕入れとはなりませんが、従業員の通勤手当(通勤に通常必要な意 金額)は、課税仕入れとなります。

上記の具体例は、一部となり消費税計算の基礎となる課税仕入れ等の判定に際しては個別取引毎に判断する必要がある点に留意が必要となります。

 

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公認会計士_TATA

大手監査法人で製造業、金融業、小売業、電力業、介護、人材派遣業、の幅広いクライアントの監査に10年以上従事し、中小会計事務所のコンサルタントの経験したのちに、会社を設立。 現在は、各種コンサルタント業務に従事している傍ら、会計・税務に関する情報を発信している。

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