会計基礎編

1-5.【貸借対照表】繰延資産ってどんなもの?これだけ読めば繰延資産が理解できる!

繰延資産はどんなもの?

 

ポイント

・繰延資産とは将来の将来の期間に影響する特定の費用で、次期以後の期間に配分して処理するため、経過的な勘定

・繰延資産の勘定科目には、株式交付費、社債発行費、創立費、開業費、開発費等が該当

 

1-2.【貸借対照表】貸借対照表はどう見ればいい?貸借対照表の注目ポイント!」で記載の通り、貸借対照表を構成する要素として繰延資産があります。

繰延資産とは、将来の将来の期間に影響する特定の費用で、次期以後の期間に配分して処理するため、経過的な勘定をいいます。

繰延資産は、株式交付費、社債発行費、創立費、開業費、開発費等が該当します。

但し以下の勘定科目の内容を見ていただければわかるように、いずれの勘定科目も通常の経営で常々出てくるような内容ではありません。

このため、繰延資産がそもそも発生しておらず、計上されていない会社も実務上は少なくありません。

 

なお繰延資産で発生する勘定科目はあまり発生頻度も高くないことから、勘定科目の内容がイメージしにくいものがあるかと思いますので、以下の赤枠で説明させていただきます。

①株式交付費・・・既存会社が新株を発行した際に、証券会社への手数料、広告費等の新株発行に関連した費用をいい、「新株発行費」という科目で表示している会社もあります。

【株式交付費が計上される実務的な事例】

例えば、上場企業が新たに資金を調達しようと考えた際に、増資という株式を新たに発行する方法があります。

この増資を行う場合、実務上は会社が自ら直接的に「株式買ってくれませんか?」と一人一人勧誘活動を行うのではなく、証券会社等へ「増資したいんだけど、株式引き受けをしてくれるところ(株式を買ってくれる会社又は人のこと)を探してくれない?」とお願いすることがほとんどです。

この際に、証券会社等は「株式を引き受けてくれる人を探すけど、その対価として手数料をくださいね。」ということになり、当該手数料が株式交付費として計上されることとなります。

上記の他、弁護士費用等の株式発行の要した各種手数料も株式交付費として計上されることとなります。

 

②社債発行費・・・企業の資金調達の手段として社債を発行した場合に、当該社債発行のために支出した費用をいいます。

【社債交際費が計上される実務的な事例】

例えば、上場企業が新たに資金を調達しようと考えた際に、上記の増資という株式の他に、自社で発行する社債を新たに発行する方法があります。

社債とは、企業や政府などが発行する債券の一種と定義づけられたりしますが、簡単にいうと社債を発行する会社が「100万円の債権を買ってくれた毎月3%の利息払います。」といった債券(お金と同等の権利)を発行し、その債権の条件に基づき利息を支払っていくものとなります。

この際も、株式の発行の時と同様に、会社が自ら直接的に「社債買ってくれませんか?」と一人一人勧誘活動を行うのではなく、証券会社等へ「社債発行したいんだけど、社債を引き受けをしてくれるところ(社債という債券を買ってくれる会社又は人のこと)を探してくれない?」とお願いすることがほとんどです。

また証券会社等は「社債を引き受けてくれる人を探すけど、その対価として手数料をくださいね。」ということになり、当該手数料が社債発行費として計上されることとなります。

上記の他、公認会計士が発行する際に文書等の社債発行の要した各種手数料も社債発行費として計上されることとなります。

 

③創立費・・・会社設立前の設立に要した費用で、定款の認証手数料、設立登記時の印紙代等が該当します。

【創立費が計上される実務的な事例】

創立費は比較的イメージしやすいかと思います。

会社を設立する際に、公証人による定款の認証手数料が必要となったり、設立登記のための印紙代、あるいは司法書士に登記をお願いした場合の手数料等が創立費として計上されることなります。

なお、余談ですが個人で会社設立を行った場合、もろもろ手続きで30万円以上かかるので、ばかにはなりません。

④開業費・・・会社設立後の開業準備のため費用で、事務所の机や椅子の事務用消耗品等が該当します。

【開業費が計上される実務的な事例】

③で記載したように会社設立にも色々とお金がかかるのですが、会社設立後も、事業所の机や備品、事務用消耗品等、色々と入りようとなってしまいます。これらの会社設立後の開業準備のため費用についても繰延資産として計上することが可能となります。
ただ、実務上は会社設立とそれに伴う準備は同時に行うことがほとんどです。

なお、開発費については少し複雑なので別の機会にお話しさせていただきます。

 

まとめ

① 繰延資産とは、将来の将来の期間に影響する特定の費用で、次期以後の期間に配分して処理するため、経過的な勘定をいう

② 繰延資産は、株式交付費、社債発行費、創立費、開業費、開発費等が該当

 

 

 

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公認会計士_TATA

大手監査法人で製造業、金融業、小売業、電力業、介護、人材派遣業、の幅広いクライアントの監査に10年以上従事し、中小会計事務所のコンサルタントの経験したのちに、会社を設立。 現在は、各種コンサルタント業務に従事している傍ら、会計・税務に関する情報を発信している。

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