日商簿記3級

【日商簿記3級③】なぜ会社は貸借対照表、損益計算書なんて作る?貸借対照表、損益計算書の作成目的

1.貸借対照表

ポイント

・ 貸借対照表の作成目的を理解する

【日商簿記3級②】簿記はなぜ存在するの?帳簿を記帳していない会社とは取引すべきではない!」にて貸借対照表は一定時点の財政状態を把握するものとして説明させて頂きました。

では一定時点の財政状態とは、具体的にどのようなことを意味しているのでしょうか。

一定時点の時点とは、言い換えると特定の時点を意味します。

例えば、3月31日という特定の時点の会社の現金残高と将来の仕入先へ支払わなければならない買掛金を知りたいとします。

なお、各勘定科目については、別の機会に詳細なご説明をしますが、買掛金は商品を仕入れたの際のツケくらいの意味で理解で問題ございません。

下記は、3月31日に現金と買掛金しかない会社となります。

 

 

上表の場合、3月31日現在において将来の支払われければならないお金としての買掛金30,000円に対して、現金が50,000円あるので、なんとか支払えそうですね。

 

それでは再び一定時点の財政状態の意味について考えてみましょう。

上記例でいうと一定時点とは3月31日現在のことをいいます。

また、財政状態は、現金50,000円、買掛金30,000円ある状態のことをいいます。

一定時点の財政状態の意味について少し理解は進みましたでしょうか。

このように貸借対照表を利用することによって、会社にいくら現金等の資産があるか、

また将来払わなければならない買掛金等の負債がいくらあるかを把握することできます。

これを把握しておかないと会社はどのくらいの資産が手元にあって、どのくらいの支払をしなければならないかを確認することができませんし、新規で取引する側でも場合によっては、決算書を見てから取引する場合が実務上ありますが、何もなければ何も判断しようがないので、本当にその会社と取引していいのか困ってしまいますよね。

なお、貸借対照表は通常、年1回(年次)、3ヵ月毎(四半期)、1か月毎(月次)の単位のいずれかで作成することが実務的には多いです。

ただ、簿記の試験では3月31日等の一定の時点に基づき問題が出されることが多いです。

ちなみに、会社は最低でも1年1回決算書を作成しなければなりませんが、その決算日はいつにしても問題ありません。

日本の場合3月31日を決算日としている会社が多いですが、海外では12月31日を決算日としている会社が多いというのが現状です。

 

2.損計算書

ポイント

・ 損益計算書の作成目的を理解する

 

 

「貸借対照表と損益計算書について」にて損益計算書は、一定期間の経営成績を把握するものという説明をさせて頂きました。

では一定期間の経営成績とは、具体的にどのようなことを意味しているのでしょうか。

一定期間の期間とは、言い換えると決められた期間を意味します。

例えば、4月1日から3月31日までの期間で会社がいくら儲かったを知りたいとします。

会社は、上記1年の間に、30,000円で商品を掛仕入を行い、その全額を得意先A社に対して50,000円の売上とします。

なお、上記以外に取引は発生していないことを前提とします。

この場合の損益計算書は以下の通りです。

 

 

上表の通り、会社は50,000円の売上に対して、仕入した商品代30,000円が売上原価としてかかっていますので、差額20,000円がこの会社が儲かった金額、すなわち利益となっています。

それでは再び一定期間の経営成績の意味について考えてみましょう。上記例でいうと一定期間とは4月1日から3月31日までの期間のことをいいます。

また、経営成績は、売上高50,000円、売上原価30,000円を差し引いた20,000円利益となりますが、この売上高、売上原価、及び利益金額を含め経営成績を表しています。

一定期間の経営成績の意味について少し理解は進みましたでしょうか。

このように損益計算書を利用することによって、会社がいくら売上をあげたのか、また売上原価はいくらかかったのか、利益はいくらあるのかを把握することができます。

損益計算書を適切に作れないと、その年儲かったのかあるいは損したのかということが、わからなくなってしまいますよね。

なお、損益計算書は貸借対照表と同様は通常、年1回(年次)、3ヵ月毎(四半期)、1か月毎(月次)の単位のいずれかで作成することが実務的には多いです。

また、貸借対照表と損益計算書は表裏一体となっていますので、同時に作成されます。

すなわち、損益計算書で出た利益が貸借対照表の純資産の部に留保される利益として計上(増額)されることになります。

逆に損益計算書で損失が出た場合には、貸借対照表の純資産の部から当該損失として計上(減額)されることになります。

まとめ

・ 貸借対照表の役割である一定時点とは、特定の日付(通常は決算日)の会社の状態を把握するために作成

・ 損益計算書は、一定期間の経営成績とは、例えば4月1日~3月31日の間における会社の儲けを把握するために作成

 

 

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公認会計士_TATA

大手監査法人で製造業、金融業、小売業、電力業、介護、人材派遣業、の幅広いクライアントの監査に10年以上従事し、中小会計事務所のコンサルタントの経験したのちに、会社を設立。 現在は、各種コンサルタント業務に従事している傍ら、会計・税務に関する情報を発信している。

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