税務基礎編

法人税申告書

確定申告と法人税申告書

内国法人は、事業年度が終了した後に決算を行い、株主総会等の承認を受け、その承認を受けた決算(確定決算)に基づいて所得金額や法人税額等、法人税法に定められた事項を記載した申告書を作成し、これを納税地の所轄税務署長に提出しなければなりません。

この手続を「確定申告」といい、こうして作成された申告書を「確定申告書」といい、法人が法人税を納めるための確定申告書を法人税申告書といいます。

なお、欠損のため納付すべき法人税の額がない場合や休業中の場合であっても確定申告書を提出する必要があります。

法人税申告書及びこれに添付する明細書(別表)は、別表一《各事業年度の所得に係る申告書-内国法人の分》から別表二十《退職年金等積立金に係る申告書-退職年金業務等を行う法人の分》まであります。

 

法人税申告書の種類

上記の通り、法人税申告書には、別表1から別表20まであります。それではどのようなものがあるか1つずつ見ていきましょう。

なお、下記に記載した各種別表は全ての別表を作成しなければならないというわけではなく、法人の活動内容や決算の状況等によって作成を要する別表は異なります。

■主な別表

①別表一「各事業年度の所得に係る申告書-内国法人の分」

別表一は、納税地の情報や、申告する会社の法人名、代表者名、住所、期末現在の資本金等を記載します。

また法人税額を計算する別表となりますので、所得金額又は欠損金額から始まり、最終的な法人税の納付税額を計算するための別表となります。

②別表二「同族会社等の判定に関する明細書」

会社(投資法人を含みます。以下同じです。)が法第2条第 10 号((定義))に規定する同族会社(以下「同族会社」といいます。)に該当するかどうか及び法第 67 条第1項((特定同族会社の特別税率))に規定する特定同族会社(以下「特定同族会社」といいます。)に該当するかどうかを判定する明細書となります。

③別表三(一) 「特定同族会社の留保金額に対する税額の計算に関する明細書」

この明細書は、別表二の「判定結果 18」において「特定同族会社」に該当する法人が、法第 67 条第1項(特定同族会社の特別税率)の規定の適用を受ける場合に使用します。

④別表四「所得の金額の計算に関する明細書」

この明細書は、損益計算書に掲げた当期利益の額又は当期損失の額を基として、いわゆる申告調整により税務計算上の所得金額若しくは欠損金額又は留保金額を計算するために使用します。

⑤別表五(一)「利益積立金額及び資本金等の額の計算に関する明細書」

この明細書は、法第2条第 18 号((定義))及び令第9条((利益積立金額))に規定する利益積立金額を計算するために使用します。

⑥別表五(二)「租税公課の納付状況等に関する明細書」

この明細書は、利益積立金額の計算上控除する法人税等の税額の発生及び納付の状況並びに納税充当金の積立て又は取崩しの状況を明らかにするために使用します。

⑦別表六(一)「所得税額の控除に関する明細書」

この明細書は、法人が当期中に支払を受ける利子及び配当等並びに懸賞金等及び償還差益につき課された所得税の額について、法第 68 条第1項((所得税額の控除))(復興財源確保法第 33 条第2項((復興特別所得税に係る所得税法の適用の特例等))の規定により復興特別所得税の額を所得税の額とみなして適用する場合を含みます。)の規定の適用を受ける場合において、法第 68 条第1項の規定により当期の所得に対する法人税の額からその所得税の額の控除を受けるときに使用します。

⑧別表七(一)「欠損金又は災害損失金の損金算入等に関する明細書」

この明細書は、次に掲げる場合に使用します。
法人が、当期に欠損金額を生じた場合(青色申告書を提出している場合に限ります。)に、当該欠損金額につき翌期以後に法第 57 条((青色申告書を提出した事業年度の欠損金の繰越し))の規定の適用を
受ける場合等

⑨別表八(一)「受取配当等の益金不算入に関する明細書」

この明細書は、法人が内国法人から受ける配当等の額について法第 23 条(受取配当等の益金不算入)(措置法第 67 条の6第1項((特定株式投資信託の収益の分配に係る受取配当等の益金不算入の特例))の規定により読み替えて適用する場合を含みます。)の規定の適用を受ける場合に使用します。

⑩ 別表十一(一) 「個別評価金銭債権に係る貸倒引当金の損金算入に関する明細書」

この明細書は、法人が法第 52 条第1項又は第5項((個別評価金銭債権に係る貸倒引当金))の規定の適用を受ける場合に使用します。

⑪ 別表十一(一の二)「一括評価金銭債権に係る貸倒引当金の損金算入に関する明細書」

この明細書は、法人が法第 52 条第2項若しくは第6項((一括評価金銭債権に係る貸倒引当金))又は措置法第 57 条の9⦅中小企業者等の貸倒引当金の特例⦆若しくは平成 31 年改正法附則第 54 条(中小企業等の貸倒引当金の特例に関する経過措置)の規定によりなおその効力を有するものとされる平成 31年改正前の措置法(以下「平成 31 年旧効力単体措置法」といいます。)第 57 条の9第3項(中小企業等の貸倒引当金の特例)の規定の適用を受ける場合に使用します。

⑫別表十四(二) 「寄附金の損金算入に関する明細書」

この明細書は、法人が法第 37 条((寄附金の損金不算入))(措置法第 66 条の 11 の2第1項又は第2項(認定特定非営利活動法人に対する寄附金の損金算入等の特例)の規定により読み替えて適用する場合を含みます。)又は措置法第 66 条の4第3項((国外関連者との取引に係る課税の特例)) 若しくは第 66 条の4の3第3項((外国法人の内部取引に係る課税の特例))の規定の適用を受ける場合に使用します。

⑬別表十五「交際費等の損金算入に関する明細書」

この明細書は、法人が措置法第 61 条の4((交際費等の損金不算入))又は令和2年改正前の措置法第 61条の4⦅交際費等の損金不算入⦆の規定の適用を受ける場合に使用します。

⑭別表十六(一)「旧定額法又は定額法による減価償却資産の償却額の計算に関する明細書」

この明細書は、主に減価償却資産について、旧定額法又は定額法によりその減価償却資産の償却限度額等を計算する場合に使用します。

⑮別表十六(二)旧定率法又は定率法による減価償却資産の償却額の計算に関する明細書

この明細書は、減価償却資産について、旧定率法又は定率法によりその減価償却資産の償却限度額等を計算する場合に使用します。

⑯別表十六(六)「繰延資産の償却額の計算に関する明細書」

この明細書は、令第 64 条第1項第2号((繰延資産の償却限度額))の規定により均等償却を行うこととされている繰延資産について、当期の償却費として損金経理をした金額がある場合に使用します。

⑰別表十六(七)「少額減価償却資産の取得価額の損金算入の特例に関する明細書」

この明細書は、中小企業者(適用除外事業者を除きます。)又は農業協同組合等で、青色申告書を提出する法人(常時使用する従業員の数が 500 人(令和2年4月1日前に取得等をした少額減価償却資産については、1,000 人)以下のものに限ります。)が措置法第 67 条の5((中小企業者等の少額減価償却資産の取得価額の損金算入の特例))の規定の適用を受ける場合に使用します。

⑱別表十六(八)「一括償却資産の損金算入に関する明細書」

この明細書は、法人が一括償却資産について令第 133 条の2((一括償却資産の損金算入))の規定により損金算入額等の計算を行う場合に使用します。

⑲別表十六(九)「特別償却準備金の損金算入に関する明細書」

この明細書は、法人が措置法第 52 条の3((準備金方式による特別償却))(震災特例法第 18 条の6第1項前段((準備金方式による特別償却))の規定により同法の特別償却若しくは割増償却の規定を含むものとみなして適用する場合又は平成 29 年改正法附則第 67 条第3項((法人の減価償却に関する経過措置))に規定する特例被災代替資産等につき同項第3号若しくは第4号の規定によりみなして適用する場合又は次に掲げる規定によりみなして適用する場合を含みます。)の規定の適用を受ける場合に使用します。

国税庁HPより

 

■その他の別表

別表十(一)「沖縄の認定法人の所得の特別控除及び要加算調整額の益金算入に関する明細書」

別表十(二)「国家戦略特別区域における指定法人の所得又は連結所得の特別控除及び要加算調整額の益金算入に関する明細書」

別表十(三)「探鉱準備金又は海外探鉱準備金の損金算入及び新鉱床探鉱費又は海外新鉱床探鉱費の特別控除に関する明細書」

別表十三(一)「国庫補助金等、工事負担金及び賦課金で取得した固定資産等の圧縮額等の損金算入に関する明細書」

別表十三(二)「保険金等で取得した固定資産等の圧縮額等の損金算入に関する明細書」

別表十七(一)「国外支配株主等に係る負債の利子等の損金算入に関する明細書

別表十七(二)「対象純支払利子等の額の損金不算入の適用除外に関する明細書」

別表十八(一)「各通算法人の所得金額等及び地方法人税額等に関する明細書」

別表十八(二)「10年内事業年度に係る各通算法人の欠損金額等に関する明細書」

別表十九「法人税法第七十一条第一項の規定による予定申告書・地方法人税法第十六条第一項の規定による予定申告書」

別表二十「退職年金等積立金に係る申告書-退職年金業務等を行う法人の分」

 

上記の通り、法人税申告書に多くの種類が存在しますが、各種別表は全ての別表を作成しなければならないというわけではなく、法人の活動内容や決算の状況等によって作成を要する別表は異なる点に留意が必要となります。

 

 

 

 

 

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公認会計士_TATA

大手監査法人で製造業、金融業、小売業、電力業、介護、人材派遣業、の幅広いクライアントの監査に10年以上従事し、中小会計事務所のコンサルタントの経験したのちに、会社を設立。 現在は、各種コンサルタント業務に従事している傍ら、会計・税務に関する情報を発信している。

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