税務基礎編

地方税の概要

1.地方税とは

税金の種類は大別すると国税と地方税に分類されます。

国税とは、国が課すことができる税金をいい、地方税とは都道府県、市町村又は特別区(以下、「地方団体」という。)が課すことにができる税金をいいます。

このように、国税と地方税が分けられているのは、国と地方の財源を明確に区分するために行われています。

 

2.地方税の種類

地方税は、上記の通り都道府県、市町村又は特別区といった地方団体がその地域に対して直接税金をかけることができるものをいいます。

この地方税は、大別して道府県税と市町村税に分けられます。

道府県税は、北海道、大阪府、愛知県、福岡県等の道府県がその地域に対して直接税金をかけることができるものです。

また、市町村税は、道府県内にある札幌市、大阪市、名古屋市、福岡市等がその地域に対して直接税金をかけるものとなります。

いずれも地方税で規定されており、当該地方税に基づき各地方団体において条例を定めたうえで課税されます。

なお、東京都における特別区においては、東京都が道府県税の全部と市町村税のうち市町村税(法人に対する課税のみ)、固定資産税、特別土地保有税、事業所税、都市計画税、法定外普通税、及び法定外目的税が課されます。

東京都の特別区とそれ以外では取扱いが違うということだけはおさえておくと地方税の理解が進みやすいです。

上記の道府県税及び市町村税は、さらに普通税と目的税に分けることができます。

普通税は、会社、個人から集めた税金の使い道が決まっていない税金となります。

目的税は、個人から集めた税金の使い道が決まっているものとなります。目的税の身近なものとしては、温泉に入った際に支払う入湯税があります。

入湯税は環境衛生施設、鉱泉源の保護管理施設、消防施設、観光施設などの整備および観光振興などに要する費用の財源として使われます。

道府県税には、道府県民税、事業税、地方消費税、不動産取得税等の普通税があり、また狩猟税等といった目的税があります。

同様に市町村税には、市町村税、固定資産税、軽自動車税等の普通税があり、また入湯税、事業所税等といった目的税があります。

以下は、地方税の種類をまとめたものとなります。すべてを覚える必要はなく、こういうものがあるだと眺めていただければ十分かと思います。

 

3.地方税の税率

地方税において、税金を課すには道府県、市町村が条例において税目ごとに税率を定めることとなります。

この税目ごとの税率を道府県、市町村ごとに制限なく自由に決定することができた場合、地方団体ごとに大きな差が出ることとなり、税金の大原則である課税の公平が実現できない恐れあります。

このような事態を避けるため税目ごとに税率を定める場合、税率の種類として標準税率、制限税率、一定税率及び任意税率を定めています。

以下、それぞれ見ていきましょう。標準税率は地方税法第1条五号において以下のように定められています。

①標準税率…地方団体が課税する場合に通常よるべき税率でその財政上その他必要があると認められる場合においては、これによることを要しない税率をいい、総務大臣が地方交付税の額を定める際に基準財政収入額の算定の基礎として用いる税率とする。

②制限税率…地方団体が課税する場合において超えてはならない税率をいいます。「制限」という言葉通りでこれ以上高くすることのできない限界の税率と考えてもらえばと思います。以下はイメージ図となりますが、標準税率から制限税率までの間は、税率を上げることはできますが、制限税率を超えることできないことが見て取れます。

 

 

③一定税率…法律上ひとつの税率が定められているもので、地方団体はそれ以外の税率を定めることができません。具体的には地方消費税がこれに該当します。

④任意税率…標準税率も一定税率も定められていないものであり、地方団体に税率設定が委ねられています。ちなみに、課税そのものが任意である法定外税は当然に任意税率です。

 

 

 

 

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公認会計士_TATA

大手監査法人で製造業、金融業、小売業、電力業、介護、人材派遣業、の幅広いクライアントの監査に10年以上従事し、中小会計事務所のコンサルタントの経験したのちに、会社を設立。 現在は、各種コンサルタント業務に従事している傍ら、会計・税務に関する情報を発信している。

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