リース会計基準

リースに関する会計基準の適⽤指針と関連する設例【企業会計基準適⽤指針第33号】⑦

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(3)使用権資産の償却
43.会計基準第 37 項における契約上の諸条件に照らして原資産の所有権が借手に移転すると認められるリースとは、次の(1)から(3)のいずれかに該当するものをいう。
(1)契約期間終了後又は契約期間の中途で、原資産の所有権が借手に移転することとされているリース
(2)契約期間終了後又は契約期間の中途で、借手による購入オプションの行使が合理的に確実であるリース
(3)原資産が、借手の用途等に合わせて特別の仕様により製作又は建設されたものであって、当該原資産の返還後、貸手が第三者に再びリース又は売却することが困難であるため、その使用可能期間を通じて借手によってのみ使用されることが明らかなリース

(4)リースの契約条件の変更
44.借手は、リースの契約条件の変更が生じた場合、変更前のリースとは独立したリースとして会計処理を行うか、又は、リース負債の計上額の見直しを行う(会計基準第 39項)。
リースの契約条件の変更が次の(1)及び(2)のいずれも満たす場合、借手は、当該リースの契約条件の変更を独立したリースとして取り扱い、当該独立したリースのリース開始日に、リースの契約条件の変更の内容に基づくリース負債を計上し、当該リース負債にリース開始日までに支払った借手のリース料、付随費用等を加減した額により使用権資産を計上する([設例15-1])。
(1)1 つ以上の原資産を追加することにより、原資産を使用する権利が追加され、リースの範囲が拡大されること
(2)借手のリース料が、範囲が拡大した部分に対する独立価格に特定の契約の状況に基づく適切な調整を加えた金額分だけ増額されること

[設例15] リースの契約条件の変更
[設例15-1] 独立したリースとして会計処理する場合

前提条件
1. A 社(借手)は、2,000平方メートルの事務所スペースに係る、不動産賃貸借契約をB社(貸手)と締結した。
2. A 社は、第5項に従って、当該契約はリースを含むと判断した。
3. リース開始日 X1年4月1日
4. 借手のリース期間 10年
5. X6 年4月1日に、A社とB社は、契約条件を次のように変更することに合意する。
③ 追加の3,000 平方メートルの事務所スペースに対するリース料の増額は、当該スペースの市場賃料に契約の状況を反映するための調整を加えたものである。
① 残りの5年間について同じ建物の追加の3,000平方メートルの事務所スペースを契約に含める。
② B社がA社による①の追加のスペースの使用を可能にする日は、X6年9月30日である。

会計処理
前提条件5の変更は、リースの契約条件の変更に該当し、次の(1)及び(2)のいずれも満たすため、A社は、当該リースの契約条件の変更について、独立したリースとして取り扱い、当該独立したリースのリース開始日に、リースの契約条件の変更の内容に基づくリース負債を計上し、当該リース負債にリース開始日までに支払った借手のリース料、付随費用等を加減した額により使用権資産を計上する(第44項参照)。
(1) 1 つ以上の原資産を追加することにより、原資産を使用する権利が追加され、リースの範囲が拡大されること
(2) 借手のリース料が、範囲が拡大した部分に対する独立価格に特定の契約の状況に基づく適切な調整を加えた金額分だけ増額されること
A 社は、独立したリースのリース開始日(X6年9月30日)に、追加の3,000平方メートルの事務所スペースのリースに係る使用権資産及びリース負債を計上する。A 社は、変更前の2,000 平方メートルの事務所スペースのリースの会計処理について修正を行わない。

 

45.借手は、リースの契約条件の変更のうち、前項に従い独立したリースとしての会計処理が行われないリースの契約条件の変更について、リースの契約条件の変更の発効日に、次の会計処理を行う([設例15-2]から[設例15-5])。
(1)リース負債について、変更後の条件を反映した借手のリース期間を決定し、変更後の条件を反映した借手のリース料の現在価値まで修正する。
(2) 使用権資産について、次のことを行うことによって、(1)のリース負債の見直しに対応する会計処理を行う。
① リースの契約条件の変更のうちリースの範囲が縮小されるものについては、リースの一部又は全部の解約を反映するように使用権資産の帳簿価額を減額する。このとき、使用権資産の減少額とリース負債の修正額とに差額が生じた場合は、当該差額を損益に計上する。
② 他のすべてのリースの契約条件の変更については、リース負債の修正額に相当する金額を使用権資産に加減する。

 

(出所:企業会計基準委員会

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公認会計士_TATA

大手監査法人で製造業、金融業、小売業、電力業、介護、人材派遣業、の幅広いクライアントの監査に10年以上従事し、中小会計事務所のコンサルタントの経験したのちに、会社を設立。 現在は、各種コンサルタント業務に従事している傍ら、会計・税務に関する情報を発信している。

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