リース関数会計基準の適用指針の第29項~第37項はこちら
(2)利息相当額の各期への配分
38.借手のリース料は、原則として、利息相当額部分とリース負債の元本返済額部分とに区分計算し、前者は支払利息として会計処理を行い、後者はリース負債の元本返済として会計処理を行う。借手のリース期間にわたる利息相当額の総額は、リース開始日における借手のリース料とリース負債の計上額との差額になる。
39.前項において、利息相当額の総額を借手のリース期間中の各期に配分する方法は、原則として、利息法による(会計基準第36項)。利息法においては、各期の利息相当額をリース負債の未返済元本残高に一定の利率を乗じて算定する([設例9-1])。
(使用権資産総額に重要性が乏しいと認められる場合の取扱い)
40.使用権資産総額に重要性が乏しいと認められる場合は、次のいずれかの方法を適用することができる([設例9-1])。
(1)第 38 項の定めによらず、借手のリース料から利息相当額の合理的な見積額を控除しない方法。この場合、使用権資産及びリース負債は、借手のリース料をもって計上し、支払利息は計上せず、減価償却費のみ計上する。
(2)第 39 項の定めによらず、利息相当額の総額を借手のリース期間中の各期に定額法により配分する方法
41.使用権資産総額に重要性が乏しいと認められる場合とは、未経過の借手のリース料の期末残高が当該期末残高、有形固定資産及び無形固定資産の期末残高の合計額に占める割合が10パーセント未満である場合をいう。
42.連結財務諸表においては、前項の判定を、連結財務諸表の数値を基礎として見直すことができる。見直した結果、個別財務諸表の結果の修正を行う場合、連結修正仕訳で修正を行う。
Ⅲ.借手及び貸手のリース
[設例9] 借手のリース及び貸手の所有権移転外ファイナンス・リース
[設例9-1] リース料が当月末払いとなる場合
前提条件
1. 顧客(借手)及びサプライヤー(貸手)は、第5項に従って、契約はリースを含むと判
断した。
2. 所有権移転条項 なし
3. 割安購入選択権 なし
4. 原資産は特別仕様ではない。
5. リース開始日 X1年4月1日
6. 借手のリース期間及び貸手のリース期間 5年
7. 貸手は、製造又は販売以外を事業としており、当該事業の一環でリースを行っている。
8. 貸手による原資産の現金購入価額 48,000 千円(借手において当該価額は明らかでは
ないため、借手は貸手の計算利子率を知り得ない。)
9. リース料
月額 1,000千円 支払は毎月末
借手のリース期間及び貸手のリース期間の月額リース料の合計額 60,000千円
10. 原資産(機械装置)の経済的耐用年数 8年
11. 借手の減価償却方法 定額法(減価償却費は、四半期ごとに計上するものとする。)
12. 借手の追加借入利子率 年8%(借手は貸手の計算利子率を知り得ない。)
13. 借手の付随費用 ゼロ
14. 貸手の見積残存価額 ゼロ
15. 決算日 3月31日
会計処理
(1) 借 手
① 利息相当額を利息法で会計処理する場合(会計基準第36項)(本適用指針第39項参照)
借手は貸手の計算利子率を知り得ないため、借手の追加借入利子率である年 8%を用いて借手のリース料60,000千円を現在価値に割り引くと、次のとおり49,318千円がリース開始日におけるリース負債及び使用権資産の計上額となる(本適用指針第37項参照)。
リース負債の返済スケジュールは、[表9-1-1]のとおりである。
(2) 貸 手
① リースの分類
ア.現在価値基準による判定(本適用指針第62項(1)参照)
貸手のリース料を現在価値に割り引く利率は、貸手のリース料の現在価値と見積残存価額の現在価値の合計額が、当該原資産の現金購入価額と等しくなるような貸手の計算利子率によること(本適用指針第66項参照)になるが、見積残存価額がゼロであり、現金購入価額が48,000千円であることから年9.154%となる([表9-1-2]及び②ア参照)。原資産の見積残存価額がゼロであるため、貸手のリース料を年9.154%で割り引いた現在価値48,000千円は、貸手の現金購入価額48,000千円と等しくなる。
現在価値48,000千円/現金購入価額48,000千円=100%≧90%
したがって、このリースはファイナンス・リースに該当する。
イ.経済的耐用年数基準による判定(本適用指針第62項(2)参照)
このリースは、アにより、ファイナンス・リースに該当すると判断されたため、経済的耐用年数基準による判定は不要となる。なお、経済的耐用年数基準による判定を必要とする場合の計算結果は次のとおりとなる。
貸手のリース期間5年/経済的耐用年数8年=62.5%<75%
ウ.ファイナンス・リースの分類
所有権移転条項又は割安購入選択権がなく、また、原資産は特別仕様ではないため、所有権移転ファイナンス・リースには該当しない(本適用指針第70項参照)。
したがって、ア及びウにより、このリースは所有権移転外ファイナンス・リースに該当する。
② 会計処理
ア.利息相当額を利息法で会計処理する場合(本適用指針第73項参照)
貸手の計算利子率は、現在価値の算定を行うにあたって用いられる利率である(本適
用指針第66項参照)。
前提条件
本設例の前提条件に追加して、次の前提条件を置く。
1. X4 年3月31日に、リースが中途解約された。これに伴い、借手は貸手に対し規定損害金23,000 千円を支払うことになった。
2. 利息相当額は利息法で会計処理している。
(出所:企業会計基準委員会)