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(建設協力金等の差入預託保証金)
建設協力金等
29.預り企業である貸手から、差入企業である借手に将来返還される建設協力金等の差入預託保証金(敷金を除く。)に係る当初認識時の時価は、返済期日までのキャッシュ・フローを割り引いた現在価値である。差入企業である借手は、当該差入預託保証金の支払額と当該時価との差額を使用権資産の取得価額に含める。また、当初時価と返済額との差額は、弁済期又は償還期に至るまで毎期一定の方法で受取利息として計上する([設例14])。
[設例14] 建設協力金
前提条件
1. A 社(借手)は、X1年4月1日に、次の条件を含む契約を地主B社(貸手)と締結した。
① A社は、A社がテナントとして入居予定のビル建設に要する資金20,000千円をB社
に建設協力金として支払う。
② A社は、当該ビルの完成後に当該ビルに入居する。
2. A 社は、第5項に従って、当該契約がリースを含むと判断した。
3. 借手のリース期間及び建設協力金の回収期間 10年
4. 借手の支払利息 当初5年間は無利息、その後は年2%
5. 返済条件 X7年3月31日からX11年3月31日までの毎年3月31日に4,000千
円ずつを利息とともに返済
6. 割引率 5%(すべての期間において適用)
7. リース開始日 X1年4月1日
8. 借手の減価償却方法 定額法
会計処理
将来返還される建設協力金等の差入預託保証金に係る当初認識時の時価は、返済期日までの
キャッシュ・フローを割り引いた現在価値である。借手は、当該差入預託保証金の支払額と当
該時価との差額を使用権資産の取得価額に含める(第29項参照)。
前提条件6より、年5%を用いてビル建設に要する資金20,000千円の契約上のキャッシュ・
フローを現在価値に割り引くと、次のとおり14,410千円となる。
30.建設協力金に関して、差入企業である借手が対象となった土地建物に抵当権を設定している場合、現在価値に割り引くための利子率は、原則としてリスク・フリーの利子率を使用する。
31.差入企業である借手は、本適用指針第 29 項の定めにかかわらず、返済期日までの期間が短いもの等、その影響額に重要性がない将来返還される差入預託保証金(敷金を除く。)について、本適用指針第29項の会計処理を行わないことができる。本適用指針第29 項の会計処理を行わない差入預託保証金(敷金を除く。)については、債権に準じて会計処理を行う(企業会計基準第10号「金融商品に関する会計基準」(以下「金融商品会計基準」という。)第14項)。
32.差入企業である借手は、差入預託保証金(敷金を除く。)のうち、差入預託保証金の預り企業である貸手から差入企業である借手に将来返還されないことが契約上定められている金額について、使用権資産の取得価額に含める。
敷 金
33.差入企業である借手は、差入敷金のうち、差入敷金の預り企業である貸手から差入企業である借手に将来返還される差入敷金について、取得原価で計上する。ただし、第29項及び第30項に準じて会計処理を行うことができる。
34.差入企業である借手は、差入敷金のうち、差入敷金の預り企業である貸手から差入企業である借手に返還されないことが契約上定められている金額を使用権資産の取得価額に含める。
35.企業会計基準適用指針第21号「資産除去債務に関する会計基準の適用指針」第9項に従い、敷金の回収が最終的に見込めないと認められる金額を合理的に見積り、そのうち当期の負担に属する金額を費用に計上する方法を選択する場合、同項に従って差入敷金の会計処理を行う。
貸倒引当金
36.建設協力金等の差入預託保証金について差入預託保証金の預り企業である貸手の支払能力から回収不能と見込まれる金額がある場合、金融商品会計基準に従って貸倒引当金を設定する。
(現在価値の算定に用いる割引率)
37.借手がリース負債の現在価値の算定のために用いる割引率は、次のとおりとする([設
例9-1]、[設例11]及び[設例18-1])。
(1)貸手の計算利子率(第66項参照)を知り得る場合、当該利率による。
(2)貸手の計算利子率を知り得ない場合、借手の追加借入に適用されると合理的に見積られる利率による。
(出所:企業会計基準委員会)