リース会計基準

リースに関する会計基準の適⽤指針と関連する設例【企業会計基準適⽤指針第33号】②

リースに関する会計基準の適⽤指針の第1項~第8項はこちら

(2)リースを構成する部分とリースを構成しない部分の区分
9.借手及び貸手は、リースを含む契約について、原則として、リースを構成する部分とリースを構成しない部分とに分けて会計処理を行う(会計基準第28項)。

(借 手)
10.借手は、契約におけるリースを構成する部分について、会計基準及び本適用指針に定める方法により会計処理を行い、契約におけるリースを構成しない部分について、該当する他の会計基準等に従って会計処理を行う。
11.借手は、契約における対価の金額について、リースを構成する部分とリースを構成しない部分とに配分するにあたって、それぞれの部分の独立価格の比率に基づいて配分する。また、借手は、契約における対価の中に、借手に財又はサービスを移転しない活動及びコストについて借手が支払う金額が含まれる場合、当該金額を契約における対価の一部としてリースを構成する部分とリースを構成しない部分とに配分する([設例7])。

(貸 手)
12.貸手は、契約におけるリースを構成する部分について、会計基準及び本適用指針に定める方法によりファイナンス・リース又はオペレーティング・リースの会計処理を行い、契約におけるリースを構成しない部分について、該当する他の会計基準等に従って会計処理を行う。
13.貸手は、契約における対価の金額について、リースを構成する部分とリースを構成しない部分とに配分するにあたって、それぞれの部分の独立販売価格の比率に基づいて配分する。貸手は、契約における対価の中に、借手に財又はサービスを移転しない活動及びコストについて借手が支払う金額、あるいは、原資産の維持管理に伴う固定資産税、保険料等の諸費用(以下「維持管理費用相当額」という。)が含まれる場合、当該配分にあたって、次の(1)又は(2)のいずれかの方法により会計処理を行う([設例7])。

(1) 契約における対価の中に借手に財又はサービスを移転しない活動及びコストについて借手が支払う金額が含まれる場合に、当該金額を契約における対価の一部としてリースを構成する部分とリースを構成しない部分とに配分する方法

(2)契約における対価の中に維持管理費用相当額が含まれる場合に、当該維持管理費用相当額を契約における対価から控除し収益に計上する、又は貸手の固定資産税、保険料等の費用の控除額として処理する方法

ただし、(2)の方法を選択する場合で、維持管理費用相当額がリースを構成する部分の金額に対する割合に重要性が乏しいときは、当該維持管理費用相当額についてリースを構成する部分の金額に含めることができる。

14.本適用指針第 12 項及び前項にかかわらず、リースを含む契約についてリースを構成しない部分が企業会計基準第29号「収益認識に関する会計基準」(以下「収益認識会計基準」という。)の適用対象であって、かつ、次の(1)及び(2)のいずれも満たす場合には、貸手は、契約ごとにリースを構成する部分と関連するリースを構成しない部分とを合わせて取り扱うことができる。
(1) リースを構成する部分と関連するリースを構成しない部分の収益の計上の時期及びパターンが同じである。
(2)リースを構成する部分がオペレーティング・リースに分類される。
15.貸手が前項の取扱いを適用する場合、リースを構成する部分がリースを含む契約の主たる部分であるかどうかに応じて次の(1)又は(2)により会計処理を行う。
(1)リースを構成する部分がリースを含む契約の主たる部分であるときは、リースを構成する部分と関連するリースを構成しない部分とを分けずに合わせてリースを構成する部分としてオペレーティング・リースに係る会計処理を行う(本適用指針第82項参照)。
(2)(1)に該当しないときは、リースを構成する部分と関連するリースを構成しない
部分とを分けずに合わせて収益認識会計基準に従って単一の履行義務として会計
処理を行う。

(独立したリースの構成部分)
16.原資産を使用する権利は、次の(1)及び(2)の要件のいずれも満たす場合、独立したリースを構成する部分である。
(1)当該原資産の使用から単独で借手が経済的利益を享受することができること、又は、当該原資産と借手が容易に利用できる他の資源を組み合わせて借手が経済的利益を享受することができること

(2)当該原資産の契約の中の他の原資産への依存性又は相互関連性が高くないこと

 

[設例7] リースを構成する部分とリースを構成しない部分への対価の配分

前提条件
(契約に関する前提)
1. 契約にリースを構成する部分とリースを構成しない部分(借手のリース期間及び貸手の
リース期間にわたる役務提供)が含まれると判断した。
2. 借手のリース期間及び貸手のリース期間 5年
3.
契約対価 81,000千円 各半期末に8,100千円ずつ支払
4. リースを構成する部分の貸手による独立販売価格
72,000 千円(借手が把握している独立価格と等しい。)
5. リースを構成しない部分(役務提供)の貸手による独立販売価格
18,000 千円(借手が把握している独立価格と等しい。)
6. 上記3に含まれる原資産に係る固定資産税及び保険料
3,000 千円(借手も当該金額を把握している。)
7. 上記の他に借手に財又はサービスを移転しない活動及びコストはないものとする。
(リースに関する前提)
1. 貸手のリースは、所有権移転外ファイナンス・リースに該当するものとする。
2. 貸手は、製造又は販売以外を事業としており、当該事業の一環でリースを行っている。
3. リース開始日 X1年4月1日
4. 貸手による原資産の現金購入価額 53,100千円(借手において当該価額は明らかではな
いため、借手は貸手の計算利子率を知り得ない。)
5. 原資産の経済的耐用年数 6年
6. 借手の減価償却方法 定額法
7. 借手の支払う付随費用 ゼロ
8. 貸手の見積残存価額 ゼロ
9.決算日 3月31日
10. 中間決算及び年度決算の年2回の決算を実施している。
11. 単純化のため、借手においては、割引の影響を無視している。また、貸手においては、
利息相当額を各期に定額で配分している。
12. リースを構成しない部分の費用は契約期間に応じて毎月定額で会計処理する。

1. 借 手
(1) リースを構成する部分とリースを構成しない部分とに分けて会計処理する場合(会計基準第28項)
① リースを構成する部分とリースを構成しない部分への対価の配分
借手は、契約における対価の金額について、リースを構成する部分とリースを構成しない部分とに配分するにあたって、それぞれの部分の独立価格の比率に基づいて配分する。

契約における対価の中に、借手に財又はサービスを移転しない活動及びコストについて借手が支払う金額が含まれる場合、借手は、当該金額を契約における対価の一部としてリースを構成する部分とリースを構成しない部分とに配分する。借手は、固定資産税及び保険料の金額を把握していたとしても、これを対価から控除することはしない(本適用指針第11 項また書き及びBC18項参照)。

(2) リースを構成する部分と関連するリースを構成しない部分とを合わせてリースを構成する部分として会計処理する場合(会計基準第29項)

2. 貸 手

(1) 借手に財又はサービスを移転しない活動及びコストを契約における対価の一部としてリースを構成する部分とリースを構成しない部分とに配分する場合(本適用指針第13項(1)参照)
① リースを構成する部分とリースを構成しない部分への対価の配分
リースを構成する部分とリースを構成しない部分の独立販売価格の比率に基づいて、借手に財又はサービスを移転しない活動及びコスト(固定資産税及び保険料)を含む契約における対価の金額について、リースを構成する部分とリースを構成しない部分とに配分する。このとき、固定資産税及び保険料に相当する額を対価に含めていたとしても、別個に会計処理を行うことはしない。

(2) 維持管理費用相当額を契約における対価から控除する場合(本適用指針第13項(2)参照)

① リースを構成する部分とリースを構成しない部分への対価の配分
リースを構成する部分とリースを構成しない部分の独立販売価格の比率に基づいて、契約における対価の金額から維持管理費用相当額(固定資産税及び保険料)を控除した金額について、リースを構成する部分とリースを構成しない部分とに配分する。
なお、ここでは、維持管理費用相当額がリースを構成する部分の金額に占める割合に重要性が乏しいとはいえないと判断している。

 

(出所:企業会計基準委員会

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公認会計士_TATA

大手監査法人で製造業、金融業、小売業、電力業、介護、人材派遣業、の幅広いクライアントの監査に10年以上従事し、中小会計事務所のコンサルタントの経験したのちに、会社を設立。 現在は、各種コンサルタント業務に従事している傍ら、会計・税務に関する情報を発信している。

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