日商簿記3級

【日商簿記3級⑨】商品売買(販売)

商品売買(販売)

【日商簿記3級⑧】商品売買(仕入)」では、会社が商品を外部から買ってくることである仕入について解説させていただきました。パンやお菓子等を総称して商品といい、コンビニにような商品を販売するお店は、販売するための商品を外部から購入する必要があります。

しかし、儲けるために商品を仕入するだけでなく、販売をしなければなりません。この商品を売ることを簿記では「売上」として表現されます。

商品を販売するときも仕入の時と同様に簿記の記載方法として商品勘定で処理する分記法と、収益である売上勘定で処理する方法を三分法がありますが、日商簿記3級は三分法を前提とした処理が問われるので、三分法を前提に説明します。

ちなみに、分記法と三分法という言葉は覚えなくても問題ないので、そんな言葉あるのか程度で大丈夫です。

以下の仕訳の理解に努めてください。

 

売上を使った仕訳①

それでは、具体的な仕訳を見ていきましょう。これから説明するところは「4.決算書作成までの流れ」でいうところの「①仕訳」となります。

 

【決算書作成までの流れ】

 

 

(例題1)会社は商品Aを販売し、200円の代金を現金で支払った。

【解説】

それでは上記の仕訳の解説をします。

ここで思い出していただきたいのが以下の表です。

 

 

売上は収益として処理される科目となります。

まずは売上=収益を抑えてください。

そのうえで、商品Aを200円で販売しているため、貸方科目に売上を記載し、金額は200円を記載します。

 

 

でもこれだと借方=貸方となっていませんね。

簿記は必ず借方=貸方の金額が一致しますので、これだけでは解答として誤りということなります。

このため、借方科目にも記載が必要となります。

今回は、現金200円を受け取っているので、現金勘定を増やすため借方勘定に記載します。

 

 

売上を使った仕訳②

例題1では、商品Aの販売を行った際に、現金での受け取りを前提に記載させて頂きました。

でも、実際は電子マネー、クレジットカード等のあらゆる手段があり、その場で現金以外の対価でもうらことが多くなってきています。

このため、例えばクレジットカード会社であれば、半月又は1か月毎に締め日を決めて、その締め日で固まった金額を受け取るというパターンがほとんどです。

また、会社と会社との取引の多くは都度都度支払うのではなく、末日等の締め日を設定したのちに、翌月に支払うといった取引がほとんどなります。

電子マネー、クレジットカード等を含めた、あとで受取る権利のことを掛け取引といいます。

 

具体的に仕訳を見ていきましょう。

 

(例題2)会社は4月15日に商品Aの200円を掛販売した。なお掛販売の支払条件は末締め翌月末となっている。

 

 

【解説】

それでは上記の仕訳の解説をします。

ここで思い出していただきたいのが以下の表です。

 

売上は上記での説明の通り収益として処理される科目となります。

そのうえで、商品Aを200円で販売しているため、貸方科目に売上を記載し、金額は200円を記載します。

 

 

でもこれだと借方=貸方となっていませんね。

簿記は必ず借方=貸方の金額が一致しますので、これだけでは解答として誤りということなります。

このため、借方科目にも記載が必要となります。

今回は、掛取引としていますので、売掛金勘定を使用します。

売掛金は将来においてお金が増えるため資産勘定となります。

 

 

これで仕訳は完成です。なお、売掛金は資産勘定となり、将来にお金を受け取ることができます。

本例では、翌月受け取ることとなりますので、売掛金の受取時には、以下の仕訳が記載されることとなります。

 

 

上記は貸方科目の売掛金の記載は売掛金の減少(資産の減少)を意味し、借方科目に現金を記載は、現金の増加(資産の増加)することを意味します。

要するに、売掛金というお金を受け取る権利の代わりに現金が増えたということになります。

 

売上戻し、売上値引の取扱い

お店から仕入を行った際に商品の品違い、傷、汚れ等の理由にお店に届いた商品を仕入先に戻すことがあるという話を「【日商簿記3級⑧】商品売買(仕入)」にてさせて頂きました。

仕入をする側であれば、仕入先に戻すことを「仕入戻し」といいますが、販売した商品が戻ったきた場合は「売上戻し」といいます。

売上戻しと聞くと少し難しく感じるかもしれませんが、単に返品された商品について売上を取り消すものと理解していただければ問題ありません。

なお、売上戻しは仕入戻しと同様に実際にモノが移動することになります。

 

売上戻し=返品

 

また例えば取引先に販売した商品の数量不足、品質不良などを理由で売上から一部値引きを受けることを「売上値引」といいます。

売上値引は、売上価格からの減額ですので実際にモノは移動しません。

 

売上値引き=売上価格の減額と理解

 

それでは、具体的な仕訳を見ていきましょう。

 

(例題3)会社は4月11日に商品Aを200円で掛け販売した。なお、商品Aのうち10円分については品違いのため返品された

 

 

【解説】

それでは上記の仕訳の解説をします。

なお、上記仕訳のうち、(借方科目)売掛金 200 (貸方科目)売上 200の仕訳に関しては、例題2と同様になりますので解説を割愛させていただきます。

ここで再度以下の表を確認してください。

 

今回の例題3では、返品を行っていますので、売上勘定、売掛金勘定をそれぞれを減額させる必要があります。

言い換えると一部仕訳の取り消し処理をするということとなります。

売上は収益項目となります。売上は貸方に記載するとしますが、借方に記載すると減少します。

今回は、返品されてますので、売上を借方に10記載します。

 

 

でもこれだと借方=貸方となっていませんね。

簿記は必ず借方=貸方の金額が一致しますので、これだけでは解答として誤りということなります。

このため、貸方科目にも記載が必要となります。

今回は売掛金という資産科目を減少させる必要がありますので、売掛金を貸方科目に記載して10を記載することになります。

 

 

上記の解説では売上から考えましたが、もちろん売掛金から考えても全く問題ありません。

重要なことは、借方=貸方の関係が成立することです。

 

(例題4)会社は4月16日に商品Aを200円で掛販売しました。なお、商品Aのうち一部傷があったことが販売したため15円の値引きを販売先に実施しました。

【解説】

それでは上記の仕訳の解説をします。

なお、上記仕訳のうち、(借方科目)売掛金 200 (貸方科目)売上 200の仕訳に関しては、例題2と同様になりますので解説を割愛させていただきます。

今回の例題では商品に傷があったため販売額から値引きを実施していますので、返品を受けた場合と同様に売上、売掛金をそれぞれを減額させる必要があります。

売上は収益項目となります。売上は貸方に記載するとしますが、借方に記載すると減少します。

今回は、値引を実施していますので、売上を借方に15記載します。

 

 

でもこれだと借方=貸方となっていませんね。

簿記は必ず借方=貸方の金額が一致しますので、これだけでは解答として誤りということなります。

このため、貸方科目にも記載が必要となります。

今回は売掛金という資産科目を減少させる必要がありますので、売掛金を貸方科目に記載して15を記載することになります。

 

 

上記の解説では売上から考えましたが、もちろん売掛金から考えても全く問題ありません。

重要なことは、借方=貸方の関係が成立することです。

 

 

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公認会計士_TATA

大手監査法人で製造業、金融業、小売業、電力業、介護、人材派遣業、の幅広いクライアントの監査に10年以上従事し、中小会計事務所のコンサルタントの経験したのちに、会社を設立。 現在は、各種コンサルタント業務に従事している傍ら、会計・税務に関する情報を発信している。

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